アテネは白い町です。
エーゲ海の島の家の造りがシックイで白いのとは違って、それは大理石の白さです。
真青な大空のもと、昼間の町を歩くと、大理石の照り返しで目もあけられぬほどのまぶしさです。
とある夕ぐれ、大理石のぬくもりがまだ残っている道をムーセイオンへたどりました。
この丘はアクロポリスの南西に立っています。
ここはパルテノン神殿を中心とするアクロポリスをはじめ、そのふもと、復原成ったオデオン劇場の外郭などを眺めるのにいちばん良いところなのです。
路地でフットボールに熱中していた子供たちが、カメラを向けると遊びをやめて、わあっと寄ってきて集団でポーズをとります。
いかにも庶民の子供ですが、身なりは小ざっばりとしていて、表情は底ぬけに明るいものです。
ムーセイオンの丘はアクロポリスと同じく、むき出しの岩膚がごつごつしていて、寝転ぶわけにはいきません。
そこで頂きの斜面に腰を下ろしてパルテノンの夕映えを眺めるのです。
やがて雲ひとつない空は満天の星空と変わり、アクロポリスの丘では"音と光"のショーが始まります。
丘の上が赤い光で染まるのは、多分ペルシア軍が攻めこんだときの説明なのでしょう。
乾いた風に吹かれながらアテネの史劇を遠望するのは、忘れられない夏の夜の楽しみです。